大腸ポリープ切除

大腸ポリープは、大腸の粘膜にできる隆起した腫瘍であり、基本的には良性です。そのため、痛みなどの症状が現れることはありません。
大腸ポリープは腫瘍性と非腫瘍性に分類されます。大腸ポリープの大部分（8割以上）は腫瘍性であり、大腸がんへの進展リスクが高いとされています。

どうして大腸ポリープを
切除するの？

大腸がんは、大腸ポリープを経て発生することから、大腸カメラ検査によって大腸ポリープが発見された場合、そのポリープを切除することで大腸がんの予防が可能となります。
ただし、すべての大腸ポリープががん化するわけではありません。大腸ポリープは腫瘍性と非腫瘍性に分類され、ほとんどが腫瘍性であるとされています。腫瘍性のポリープはがんに進展する可能性があります。
一方、非腫瘍性のポリープには、過誤腫性や炎症性、過形成性ポリープなどがあります。このうち、過形成性ポリープはがんに進展することもあるため、サイズや部位によっては切除が推奨される場合があります。

大腸ポリープには遺伝子の異常が関与していると考えられており、そこに高脂肪食、過度な飲酒、喫煙、肥満などの要因が加わると大腸がんへの進展を促す可能性があります。
一般的に、大腸ポリープ自体には痛みなどの症状はありませんが、ポリープが大きくなると硬い便と擦れて出血することがあります。これにより血便が生じ、便潜血検査で陽性反応が出ることがあります。また、便が出づらくなったり、粘液が混じった便が出る、腹痛や下腹部の張りなどの症状が現れることもあります。
大腸ポリープを予防するためには、以下のような対策が重要です。

• 食物繊維を多く含む食品や果物、野菜を摂取し、
  栄養バランスの良い食事を心がける
• 適度な運動やウォーキングなどを取り入れ、
  体重を管理する
• 禁煙を心がける
• 適度な範囲での飲酒に留める

ポリペクトミー

大腸ポリープの切除は、スネアと呼ばれる輪っか状のワイヤーを使用して、ポリープを根元から掴んで絞扼し、高周波電流を通して焼き切る方法が一般的に行われます。この方法は通電しているため、止血効果があります。
ただし、周囲への熱の伝播により、炎症や大腸の粘膜の穴があく穿孔などのリスクが存在します。

コールドポリペクトミー

スネアを大腸ポリープに引っ掛けて通電せずに締め付けて切除する方法です。この方法では、通電しないため一時的に出血するリスクがありますが、通常、出血は自然に治まります。
この方法の利点は、周囲に熱を与えずに切除が行われるため、炎症や穿孔などの合併症のリスクが抑えられます。熱によるダメージが最小限に抑えられるため、ポリープの周囲組織に対する損傷が軽減されます。

内視鏡的粘膜切除術（EMR）

ポリープの下に生理食塩水を注入して隆起させる方法です。これにより、スネアを引っ掛けやすくし、高周波電流による切除を行います。
ポリープの下に生理食塩水を注入することで、スネアによる切除時に通電される高周波電流の熱ダメージがポリープ周囲の組織に与える影響を抑える効果もあります。

大腸ポリープを切除した後、1週間程度は出血などの合併症が起こるリスクがあります。そのため、以下の点に注意してください。

• 激しい運動を避けてください。
• 飲酒は控えてください。
• お腹に負担のかかる動作を避けてください。
• 長時間の運転や飛行機を使った旅行・出張を避けてください。
• 切除当日の入浴は控え、シャワーで済ませるようにしてください。
• ポリープ切除後、概ね3日間は、1時間以内に当院受診可能な距離にいてください。

大腸ポリープ切除後の食事

大腸ポリープ切除後は、胃腸に優しい食事を心掛けましょう。脂っこい揚げ物や刺激物の多い香辛料、食物繊維の多いひじきや海藻類などは避けるようにしましょう。
また、アルコールも血流を促進して出血リスクを高めるため、しばらくは控えることが望ましいです。
代わりに、以下のような食事を摂ることをおすすめします。

• 柔らかく煮た野菜や果物
• 脂肪分の少ない鶏肉や魚
• 消化しやすい炭水化物
  （例：白米やパン）
• 胃腸を刺激しない、ノンカフェインの飲み物
  （ハーブティーやデカフェコーヒーなど）