大腸癌

日本でもっとも多い大腸がん

大腸がんは、大腸粘膜の表層から発生するがんです。主な発生メカニズムとして、良性の大腸ポリープががん化して発生するタイプと、正常な粘膜から突然がんが発生するタイプがあります。一般的には、ほとんどの大腸がんはポリープから発生する前者に分類されます。胃がんと同じように浸潤と転移によって広がっていきます。
いま日本では大腸がんの増加が問題となっています。2023年の臓器別がん統計予測では、大腸がんは罹患数1位(16万1100人)、死亡数2位(5万4400人)で、欧米諸国と比べて罹患率が高いという現状です。
5年相対生存率は、0期97%、I期95.4%と良好ですが、IV期では18.7%と低下します。やはり早期に発見することが重要です。男性の10人に1人、女性の12人に1人が生涯で大腸がんに罹患します。40歳代から増加しはじめ、50歳代で顕著に増加します。その後は高齢になるほど増えていき、80歳代でピークとなります。40歳になったら、症状がなくとも一度は大腸カメラ検査を受けておきたいです。

男女計   男性   女性  
大腸 161,100 前立腺 98,600 乳房 97,300
132,000 大腸 90,700 大腸 70,400
129,900 89,100 43,800

がん罹患数予測(2023年)

大腸がんの初期症状とは?

大腸がんは早期の段階ではほとんど自覚症状が現れません。腹痛や血便などの症状がみられた時には進行がんになっていることが多いため、早期に大腸がんを見つけるためには大腸カメラ検査を受けるほかに方法がありません。大腸がん検診などで行われる便潜血検査は有用で、便潜血陽性の精査で早期がんが発見されることもしばしば経験されます。

大腸がんが進行すると…

大腸がんが進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
これらの症状に気づいた場合や便潜血検査で陽性が出た場合には、すぐ医療機関にご相談ください。

  • 血便
  • 便秘と下痢の繰り返し
  • 便が細い
  • 残便感
  • 腹部の強い張り
  • 腹痛が続く
  • 貧血

血便があっても痔だと思い込んで発見が遅れる、便秘や下痢があっても大腸がんとは思わなかった、など意外に大腸がんのサインは見逃されることが多いです。放置すると腸閉塞となり非常に危険ですので、これらの症状がみられたときはすぐに医療機関を受診しましょう。

大腸がんになる原因

大腸がんの発症リスク要因には、食生活の欧米化(赤肉や加工肉の摂取、食物繊維の不足)、肥満、運動不足、喫煙、飲酒などが含まれます。また、大腸がんの家族歴(血縁者に既往のある場合)は、そうでない方と比較してリスクが高まるとされています。これらの発症リスクを避ける生活を心がけるのは大切ですが、大腸がん予防に最も有効なのが大腸カメラ検査です。内視鏡で大腸ポリープを定期的に切除し、クリーンコロン(大腸内にポリープが存在しない状態)にしておくことで、その後の大腸がん死リスクは大幅に下がります。

大腸ポリープと大腸がん

大腸がんは、「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」の2つに分類されます。
腫瘍性ポリープは数年かけて成長し、がんに進展する可能性があります。一方、非腫瘍性ポリープのうち過形成ポリープと呼ばれるものは、大きさが10ミリを超えるとがんに進展することがあります。
大腸がんのほとんどは大腸ポリープから発生するため、大腸ポリープの段階で切除することで大腸がんの予防が可能です。当院では、日帰り手術による大腸ポリープ切除も行っております。大腸カメラ検査は「痛い」、「苦しい」といったイメージを持った方が多く、敬遠されがちですが、鎮静剤を用いて適切な方法で検査をおこなえば、ほとんどの方で無痛のうちに検査、ポリープ切除ができます。

早期大腸癌

早期大腸癌

進行大腸癌

大腸カメラ検査

大腸カメラ検査は、肛門から内視鏡を挿入して大腸全体の粘膜を観察する検査です。内視鏡のカメラを通じて粘膜を直接見ることができるため、がんをはじめとする病変の位置や範囲を正確に把握することができます。また、必要に応じて粘膜から組織の一部を採取し、病理組織検査を行うことができます。がん化の可能性のある大腸ポリープが発見された場合には、その場でポリープ切除することも可能です。

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40歳を過ぎたら
大腸内視鏡検査を
受けましょう

大腸がんは、ある程度進行してからようやく症状が現れることが多いため、早期発見が重要です。便秘、下痢、腹痛など、身近な症状であるために受診が遅れるというケースも少なくありません。
特に40歳頃からは、大腸がんの罹患率が高くなるため、年に1回の定期的な大腸カメラ検査をおすすめしています。
当院では、苦痛を最小限に抑えた大腸カメラ検査を実施しています。消化器・内視鏡専門医、指導医が丁寧に診察いたしますので、安心して受診してください。