痔は早めの受診で
楽に治せます
痔には、切れ痔(裂肛)・いぼ痔(痔核)・痔ろうの3種類があります。痔など、肛門に違和感や異常があっても、恥ずかしさから受診をためらう方も多く、症状を悪化させてしまうことが多くみられます。
痔は、早期に治療することで、楽に治療できます。そのため、肛門の気になる症状がある場合は早めに受診されることをお勧めしております。
代表的な
肛門疾患と症状
排便時に出血がある場合
鮮やかな血がポタポタと出てくる
便器が真っ赤になる程血が出る
- いぼ痔(内痔核)
- 憩室出血
赤黒っぽい血が出る
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 虚血性腸炎
便の表面に血が付いている
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
便に血と粘液が混ざっている(粘血便)
- クローン病
- 潰瘍性大腸炎
拭いた後のトイレットペーパーに血が付いている
- 切れ痔(裂肛)
- いぼ痔(内外痔核)
肛門の痛み
排便時に痛みがある
- いぼ痔(外痔核)
- 切れ痔(裂肛)
肛門がいつも痛い
- 肛門周囲膿瘍
- 炎症を伴う内外痔核
- 血栓性外痔核
肛門に激しい痛みがある
- 内痔核嵌頓
肛門から組織が脱出する
肛門から柔らかい組織が脱出する
- 皮垂
- 内痔核
肛門から硬い組織が脱出する
- 肛門ポリープ
- 血栓性外痔核
- 直腸がん
肛門から大きな組織が脱出する
- 内痔核
- 直腸脱
- 嵌頓
※嵌頓には痛みがありますが、直腸脱はほとんど痛みを起こすことはありません。
下着の汚れ
下着に便が付く・粘液が付く
- 内痔核
下着に血が混ざった膿が付く
- 痔ろう
- 肛門周囲膿瘍
当院の肛門診療について
肛門に起こる症状は、恥ずかしさや診療の不安からなかなか肛門科の受診を後回しにしてしまう方が多くいます。症状があっても、診療に対する不安、処置や治療がよく分からないことが大きな原因とされています。
当院の肛門科診療では、プライバシーに十分配慮しながら、痛みを最大限抑えた丁寧な治療を行っております。患者様の苦痛や不快感を最大限、取り除いた診療を心がけておりますので、安心してご来院ください。
実際の診療内容
1.準備
プライバシーを確保した個室診察室にて準備していただきます。診察台に横向きになって寝ていただき、腰には大きなバスタオルをかけます。
膝を曲げてお尻が見えるように衣服を下げていただきます。女性看護師が丁寧にサポートしますのでご安心ください。
2.診察
指診を行う上で必要な麻酔ゼリーを塗布します。診察では、痛みのある患部や腫れ、傷の状態、ポリープやしこりの有無などを確認していきます。
3.指診
肛門や検査器具、指などに麻酔ゼリーを塗布後、肛門から人差し指で患部を確認します。麻酔ゼリーを使用するため、痛みはありません。
4.肛門鏡による観察
肛門鏡(筒型の金属でできた鏡)で肛門内部を見ていきます。肛門鏡は徹底した洗浄と加熱殺菌で管理しております。
5.消毒
診察終了後は、塗布した麻酔ゼリーを丁寧に拭き取ります。
6.身支度
診療を終えたら衣服など身支度を整えていただきます。
7.ご説明
医師による診療の説明を行います。今後の治療方法についても説明しますので、ご不明点や不安なことがありましたら、些細なことでもお気軽にご相談ください。
肛門科の診療をより楽に
受けていただくために
肛門科を初めて受診される方は緊張で肛門に力が入ってしまいます。肛門の検査では、身体がリラックスした状態の方が、楽に検査を受けていただけます。肛門科の検査や治療では、痛みや不快感がないように努めていますので、安心して検査を受けてください。ゆっくりと深呼吸して、全身の力を抜くことを意識されることをお勧めしております。
痔の症状と種類
痔には、いぼ痔(痔核)・切れ痔(裂肛)・痔ろう(あな痔)の3つに分類されます。
痔核(いぼ痔)
肛門周囲にいぼ状のでき物ができた状態が痔核(いぼ痔)です。痔の中でも最も多くみられる種類です。
歯状線を境に内側にできたものを内痔核と言い、外側にできたものを外痔核と言います。
内痔核
歯状線よりも内側にできたいぼ痔です。歯状線を境に内側は粘膜で知覚神経がないため、いぼ痔ができても痛みを感じることはありません。このため自覚症状がなく分かりにくいですが、症状が進行したり、いきんだりすることで肛門の外側に出てくることがあります。
排便時の出血が起きることがあるほか、いぼ痔によって便の通過がしにくくなり残便感・異物感などが起こることがあります。肛門の外に脱出しても最初は自然に元に戻りますが、次第に指で押し込んでも戻らなくなってしまいます。
外痔核
歯状線よりも外側にいぼ痔ができる状態です。歯状線を境に外側は皮膚部分であるため知覚神経があり、痛みが生じます。
また、激しい痛みが起こるほか、いぼ痔表面の皮膚が破れて出血を伴うことがあります。
裂肛(切れ痔)
肛門の皮膚が切れた状態が裂肛(切れ痔)です。切れたり、裂けたりした状態で、排便時に強い痛みが生じることがあります。便秘が起こりやすい女性によくみられ、無理に硬い便を排出しようとして症状が悪化することがあります。
切れ痔は強い痛みがあるため、次第に排便を我慢するようになってしまいます。便秘や下痢、炎症が原因となって切れ痔を起こすことがあります。また、再発しやすいことから、再発を繰り返すうちに傷が深くなって、ポリープや潰瘍となることがあります。
痔ろう(じろう・あな痔)
肛門周囲に膿が溜まる肛門周囲膿瘍による炎症が進むと、溜まった膿が排出しようと皮膚に向かってトンネルを形成し、皮膚に穴を開けて膿を排出します。これが肛門周囲にできる状態が痔ろうです。膿が排出されると、痛みや腫れの症状は治まります。
歯状線にある小さい窪みに、激しい下痢などで便が侵入し、炎症を起こして膿が溜まるのが原因です。痔ろうができてしまったら、手術治療を行います。また、難病であるクローン病では肛門周囲膿瘍や痔ろうを合併しやすいため、痔ろうを認めた方では消化管のチェックのため胃カメラ、大腸カメラといった内視鏡検査を行います。